白球の倉庫 その三
第二十一回〜第三十回
私の愛する野球について語るコーナーです


連載 第二十一回 2002/08/09
高校野球特集

私は甲子園に行ったときに驚きました。
よくテレビでアナウンサーが「蔦の絡まる甲子園」といってます。
その外壁にほんとに絡まっていたのです。
蔦は植物ですから、根っこがあってそこから壁に沿ってくっついています。
まるでジャックと豆の木のように高く高く広がっているのです。
東京ドームのような無機質さはなく、
植物と人工物が合体した不可思議さと、
その歴史を一目見ただけで理解させてくれます。

甲子園はほんとに素敵で美しい球場です。
ここは高校球児のあこがれの地であり、
野球の聖地です。



連載 第二十二回 2002/08/10
高校野球特集

今日はアルプススタンドについて、です。
甲子園にはアルプススタンドと呼ばれている席があります。
内野席の一番外野よりの一角です。
レフトにもライトにもあります。
高校野球では出場校や出場した地元の人が応援する席です。
私はここで応援するのが夢でした。
球場の外で母校がテーブルを出していて、チケットをくれました。
ついでに寄付もしてきました。
甲子園に出場するには千万単位のお金が必要なのです。
一試合3000万、勝ち抜いたらまた3000万といわれています。
私は外野席には座ったことがありましたが、
アルプスに入ったのは初めてでした。
球場は広い、アルプスも広い。
現役高校生たち、応援団、吹奏楽、
地元の人、たくさんいます。
みんな方言で話しています。
ああ、ここは私のふるさとです。
鳥肌立ちました。
ここは甲子園なのに方言で話してるなんて、
当たり前であり不思議。
ああ、夢がかなったんだなあ。
よ〜〜〜〜しっ、思いっ切り応援するぞー。



連載 第二十三回 2002/08/12
高校野球特集

今日は芝生について。
甲子園球場の美しさは芝生にあります。
あの芝生を実際に目にすると言葉を失います。
最近はドーム球場や人工芝の球場が増えています。
野球を興業としてとらえている場合
ドーム球場はとても有効ですが、
ほんとうの野球を楽しむのならば
やはり芝生は天然芝、天井は空であって欲しい。
「フィールド オブ ドリームス」という映画を見ると、
ほんとそう思います。
甲子園は夢の球場。



連載 第二十四回 2002/08/15
高校野球特集

今日はペナントについてです。
甲子園では外の売店で、
ほんとに各学校のペナントが売っています。
昔ペナントってすごく流行っていた、というか
友達のうちに行くと壁にはってあることがよくありました。
いまでも売ってます。
自分の学校のがあるとつい買ってしまう、・・・かなあ
う〜ん、買わないなあ
横目で見て通過して終わり、
でした。



連載 第二十五回 2002/08/17
高校野球特集

今日は校歌について。
わたしの母校はやけに校歌が大好きで、
なにかというと歌わされてました。
一年生の時は声が小さいともう一回。
応援団じゃないんだから・・・
そんな風に叩き込まれた校歌をそう簡単に忘れるはずはありません。

いま高校野球では勝ち負けに関係なく校歌を歌うことができます。
4回とかそういう途中に校歌タイムがあるのです。
なんかそれってずるいよなって思ってました。
やはり校歌は勝利の証だよ。なんて。
しかしですね、校歌を歌えるってやっぱ、うれしいんですよ。
ずるいよななんて思ってた気持ちなんて吹っ飛んでしまった。
大声で歌っちゃいました。
歌えるときは歌うんだ。
勝ったらもう一回最後に歌えるけど、
いまだって思いっ切り歌っちゃうぞ。

周りを見ると歌ってない人もいます。
狭い意味でも広い意味でも卒業生じゃないひとたちでしょう。
そういう人たちには悪いけど、
校歌歌えるってシアワセ。
ああ、シアワセ。
シアワセ。
卒業してずいぶんたっちゃったから、
二番と三番の歌詞がごちゃごちゃになっているが、
そういうのは大目に見てね。

いっしょにいた昔の同級生が合唱部出身でして、
ビブラートを効かせてびりびり歌うもんだから、
それがとっても恥ずかしかった。
まあそれが彼女のシアワセなんだから、
それも受け止めてあげました。


連載 第二十六回 2002/08/18
高校野球特集

今日は選手の練習風景について。
まだ前の学校が試合をしていて、外で待っているときでした。
選手たちの室内練習場の窓が開いていていました。
おお、母校の選手たちが練習をしているではないか!
上半身裸になって素振りをしていたり、
キャッチボールをしたり、
なんだかドキドキしちゃうなあ。
こっそり見ていたのですが、ほかの人の気づいて、
窓は選手たちを見たい応援の人で鈴なりになっちゃいました。
暑いのに窓を閉めて練習しなくちゃいけなくなるわね。
それにしても、
彼らの肉体はたくましくていいわねえ。
そういえば、
高校生の時バレー部の合宿と硬式野球部の合宿が重なって、
まさか同じところに泊まるわけにも行かず、
バレー部は柔道場に泊まりました。
お風呂は合宿所に入りにいったんですが、
そのとき野球部の皆さんが上半身裸で
ぶんぶん素振りをしておりまして、
あまりの恥ずかしさに下を向いて走って駆け抜けたことがありました。
うう、懐かしいのー



連載 第二十七回 2002/08/19
高校野球特集

夏の高校野球もベスト8が出そろって、
いよいよ面白くなってきました。

わたしは母校がベスト8に入り、
居ても立ってもいられなくなって、
翌日会社を休んで甲子園に行きました。
飛行機で行こうか新幹線で行こうかすごく迷った。
どっちが時間に正確に到着できるかという問題です。
結局新幹線にしました。
途中で他の試合をラジオで聞けるしね。

梅田の阪神電車の駅に行くと、
高校野球の経過と結果が掲示してありました。
う〜ん、親切。
きっとここではこれが常識なんでしょう。
阪神電車に乗ると、高校野球を見に行くらしきカップルがおりました。
デートで高校野球を見に行くのかしら。
うらやましー
関西の人って野球が好きだし、
野球に対する知識も豊富、
理解も深い。
そういう土壌が高校野球やプロ野球を育てているのでしょう。
改めて紹介すると、甲子園は大阪ではなくて、
兵庫県西宮市ですよ。


連載 第二十八回 2002/08/26
高校野球特集

こちらも連載「カナヅチ撲滅運動」同様、すっかり休んでおりました。
すっかり高校野球も終わっておりました。
では最後として、 テーマは涙。
私の母校は残念ながらベスト8で敗退しました。
私はその時、負けて悔しかった。
しかし、なんとなく涙を見せるのが悲しくて、
我慢した。
選手たちがアルプススタンドに向けて
強く走ってくる。
一列に並ぶ。
中には泣いている選手もいるではないか。
ああ、我慢できないよー
「ありがとうございましたー」
どどー
涙がー
自分泣きともらい泣きのかけ算だわ。
自分の青春と球児の青春の合成写真である。
涙がー
高校生だったとき、県予選の決勝戦で負けたときも泣いてしまったよ。
あのときはこの甲子園の涙の比ではなかった。
もうシャワーのように噴出していたなあ。
悔し涙もあろう、
うれし涙もあろう、
もらい涙もあろう、
いろいろな感動をくれる野球ってすばらしいなって
私は思うのです。


連載 第二十九回 2002/09/18

ずいぶん長い間ほったらかしにしておりました
ほこりがたまっとる
九月になってしまいました

いま、オリンピックの競技から野球をなくそうか
という話が出ておりますね。
奇しくも日本でサッカーのワールドカップが
開催された年にですよ。
これはですね、つまり、
「ほら、サッカーは野球よりもワールドワイドだ。
二つを比べると野球の方がマイナーなんだって」
ってことなんでしょうね。
私はそれはそれでそうなんだからいいと思います。
残念だけど、流れだなって思います。
悔しかったら、野球の好きな国の人が、
お金と道具を持って世界を回ったらいいと思っています。
サッカーだってそうしてきたんでしょうから。



連載 第三十回 2002/09/19

今年の夏、イタリアのレッジョカラブリアで
世界大学選手権大会が開催されました。
サッカー好きな方はよくご存じかもしれませんが、
今年中村俊輔が移籍したレッジーナという
チームがあるところです。
野球は北アメリカ、中央アメリカ、そしてアジアでは
大変メジャーなスポーツですが、
ヨーロッパではマイナーなスポーツです。
だから私はイタリアで開催されると聞いたときに、
驚きました。
しかも第一回目の大会がです。
大学野球といえども、
こうして野球の底辺が世界レベルで
広がっていくのはなんともうれしいことです。
世界を旅したときに、
サッカーや野球の話で
異国の人々と盛り上がれるって
夢のようじゃないですか、
ね。


白球の威力へ